2021.1.19

テレワークについて(労働時間・休憩時間・就業規則変更の要否)

今回は、テレワーク(厚労省によれば、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務の総称)について労働時間、休憩時間、テレワークの導入の際の就業規則変更の要否について紹介したいと思います。

 

(1)労働基準法上の労働時間の規制(原則)

労働基準法上、原則として、労働時間は1日8時間、1週間40時間が上限になっています。

 

テレワークを行う場合でも労働基準法上の労働者については、労働基準関係法令が適用されるため、同じように労働時間の上限規制が適用されます。

そのため使用者はテレワークを行う場合でも「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)に従って、適切に労働時間を管理するようにしましょう。

 

(2)休憩時間の規制(原則)

労働基準法では原則として、6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩が必要かつ休憩は一斉付与しなければならないとされています。

 

テレワークを行う労働者については上記原則のうち一斉付与については適用除外とすることが可能です。

テレワーク勤務中の休憩時間については、業務を中断、労働から離れる時間の開始と終了を報告させる等により、任意に休憩時間を設定し、休憩時間として扱うことが可能です。始業時刻の繰り上げや終業時刻の繰り下げも可能です。

また、休憩時間ではなく時間単位の年次有給休暇として取り扱うことも可能です。

ただし、いずれにしても休憩時間の扱いや業務時間の変更、時間単位の年次有給休暇とする場合は事前に労働者と使用者の間で合意を得ておくことが大切です。業務時間の変更等には就業規則への記載等の手続きも必要となります。

 

(3)テレワーク導入の手続き~就業規則変更の要否~

テレワークの導入にあたっては、就業規則にテレワーク勤務に関して規定しておくことが必要です。そして、テレワーク勤務に関する規定を作成・変更した場合、所定の手続きを経て、所轄労働基準監督署に届出を要します。

 

就業規則と他の労働規範との関係は法律>労働協約>就業規則>労働契約となります。就業規則の内容で、法律や労働協約に反する部分があれば、法律や労働協約の内容が優先するため、就業規則を変更する場合は、全体を通して矛盾が生じないか確認が必要です。

 

テレワーク勤務について規則を定める場合、例えば以下のような事項の規定が必要となります。

・在宅勤務を命じることに関する規定

・在宅勤務用の労働時間を設ける場合、その労働時間に関する規定

・通信費などの負担に関する規定

 

なお、就業規則の作成・届出義務がない会社では、労使協定の締結や、労働条件通知書で労働者に通知することが必要となります。

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