2015.8.12

ワンポイント考察【高齢者の消費者被害と認知症有病者の拡大傾向】

いまや、高齢化社会ではなく、成熟した高齢社会と言われています。高齢社会における大きな課題は消費者被害の拡大と認知症有病者の拡大です。今日は、国民生活センター、厚生労働省の統計をご紹介して、消費者被害や認知症についての現状を皆さまと共有して頂きたいと思います。

最初のグラフは、年代別人口と消費者被害相談件数の推移を表したものです(国民生活センター調べ)。消費者相談件数の総数は徐々に減少しているにもかかわらず、65歳以上の相談件数は人口の伸び率以上に急増していることがわかります。

2つ目の表は、商品・サービス別の相談件数を70歳以上、全年齢それぞれを多い順に列挙したものです(国民生活センター調べ)。全年齢ではインターネット関連の相談が多いのに対し、高齢者では、健康食品、ファンド型投資商品、新聞、サラ金などの相談が多くなっています。

こうした高齢者の消費者被害について、国民生活センターでは、高齢者を取り巻く環境の変化、特に健康状態や収入支出、生活スタイルの変化により、高齢者特有の健康・お金・孤独という3つの不安が増幅し、そこに悪質な業者らが付け込もうとしていると分析しています。

また、高齢者の場合、保有資産が他の世代より大きいことから被害金額が多くなり、また独居などで周囲の人が被害に気付きにくいといった傾向があると分析しています。

次に、認知症有病者数の推計表(ピラミッド型の表)を見てください(厚生労働省調べ、2012年)。介護保険制度を利用している認知症高齢者280万人にその他の認知症有病者160万人を加えると2012年時点で439万人もの認知症有病者がいらっしゃるとされています。これに、MCIの人(正常と認知症の中間状態の人、軽度認知機能障害)380万人を加えると800万人を超える方が既に認知症有病者もしくはそれに近い症状を有する方ということになります。

先に述べた消費者被害は認知症やMCIの人の場合はさらに深刻になることは容易に想像できます。

これから10年以上、高齢者人口はさらに増え続けます。私たち次の世代は、増えていく高齢者の消費者被害を防ぎ、認知症に備えるために何が何でも頑張らなければならないと思います。弁護士法人海星事務所は、高齢者の支援に特に力を入れて法律業務を行ってまいりたいと考えます。みなさま、どうぞご理解ご支援のほどをお願い申し上げます。

 

 

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