2021.1.18

債権の除斥と債権申出期間内の弁済について

本日は債権の除斥と債権申出期間内の弁済について紹介していきます。

 

【債権の除斥について】

医療法第56条の8第1項に基づき、2か月以上の期間を設けた債権申出公告を3回以上実施して、債権者に対して十分な注意を与えたにもかかわらず、債権者が申出をしなかった場合、早期の清算手続結了の趣旨を鑑み、清算人が債権の申出をするべき旨の所定の催告を行った場合において、債権者が債権申出期間内に請求の申出をしなかったときは原則としてその債権は清算より除斥されるとしています。

ただし、債権者は直ちにその権利を失うのではなく、その責任財産が残余財産に限定されるものとしています。

すなわち、清算から除斥された債権者は原則として清算医療法人に対して自分の債権を請求することができないこととなります。

しかし、判明している債権者及び期間内に請求の申出を行った債権者に対して債務を弁済したのち、権利の帰属すべき者に引渡されていない残余財産がある場合には、債権申出期間経過後に申出た債権者は、残っている残余財産に対して自分の債権に対する支払を請求することができます。

 

【債権申出期間内の弁済について】

株式会社が清算を行う場合、清算株式会社は、債権申出期間内は債務の弁済をすることができません。

また相続財産の清算手続の1つである限定承認手続において、限定承認者は、債権申出期間満了前には、債権者に対して弁済を拒むことができます。

これに対して医療法人の解散の場合、このような定めがありません。

また、債務を完済することができない場合は直ちに破産手続に移行させること(医療法56条の10)になっているので、清算においては全ての債権が完済できることが前提となっています。

このため、清算人は医療法第56条の8の債権申出期間内であっても債権者に対して弁済をすることができると考えられています。

債権申出期間であっても清算人は債権者に対して弁済することができるため、債権者は債務名義に基づき強制執行することができ、担保権を実行して売却代金から弁済を受けることもできます。

 

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