2021.2.3

医療法第6章第4節計算について(3:事業報告書等の承認に関する手続き)

医療法人は医療法第51条1項所定の事業報告書等の書類を作成する必要があります。

事業報告書等については次回の記事で取り上げます。

今回は、事業報告書等の承認等に関する手続きをまとめております。

 

なお、一定規模以上の医療法人(医療法施行規則第33条の2で定められている3つの基準のいずれかに該当する者)については、一般の医療法人とは異なる規制を受けます。

【医療法施行規則33条の2】

(1)最終会計年度(事業報告書等につき法第51条第6項の承認を受けた直近の会計年度をいう。以下この号及び次号において同じ。)に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が50億円以上又は最終会計年度に係る損益計算書の事業収益の部に計上した額の合計額が70億円以上である医療法人

(2)最終会計年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が20億円以上又は最終会計年度に係る損益計算書の事業収益の部に計上した額の合計額が10億円以上である社会医療法人

(3)社会医療法人債発行法人である社会医療法人

 

まずは一般の医療法人の場合です。

①医療法人は毎会計年度終了後2か月以内に医療法第51条1項所定の事業報告書等を作成する

②事業報告書等について監事による監査を受ける

③監査を受けた事業報告書等について理事会の承認を受ける

④理事は、理事会の承認を受けた事業報告書等を社員総会・評議員会の招集に際して社員・評議員に提供する

⑤理事は、理事会の承認を受けた事業報告書等を社員総会・評議員会に提出する

⑥事業報告書等のうち貸借対照表及び損益計算書について社員総会・評議員会の承認を受ける

⑦理事は、事業報告書等のうち貸借対照表及び損益計算書以外の書類について、社員総会・評議会にて内容を報告する

⑧医療法人は、事業報告書等及び監事による監査報告書を主たる事務所に備え置き、閲覧に供する

⑨医療法人は、毎会計年度終了後3か月以内に事業報告書等及び監事による監査報告書を都道府県知事に届け出る

なお、事業報告書等を公告する必要はありません。

 

 

次に一定規模以上の医療法人の場合です。

一般の医療法人の場合の手続きに加えて以下の手続きが必要です。

 

①事業報告書等のうち、貸借対照表及び損益計算書を医療法人会計基準に従って作成する

②事業報告書等について監事による監査に加えて公認会計士又は監査法人の監査を受ける

③医療法人は理事会、社員総会・評議員会の承認を受けた後に貸借対照表及び損益計算書を公告する(※1)

④医療法人は、事業報告書等、監事による監査報告書に加えて公認会計士等の監査報告書を主たる事務所に備え置き、閲覧に供する

⑤医療法人は、事業報告書等、監事による監査報告書に加えて公認会計士等の監査報告書を都道府県知事に届け出る

 

※1 令和3年3月1日から改正法が施行され、医療法51条の3が変わります。これに伴って、医療法施行規則33条の2の9も改正されます。この改正により、官報や日刊新聞に掲載する場合、要旨の公告で足りるため、公告費用を抑えることができるようになると考えられます。

 

【改正後】

医療法第51条の3 医療法人(その事業活動の規模その他の事情を勘案して厚生労働省令で定める基準に該当する者に限る。次項において同じ。)は、厚生労働省令で定めるところにより、前条第三項の承認をした社員総会又は同条第五項において読み替えて準用する同条第三項の承認をした評議員会の終結後遅滞なく、同項(同条第五項において読み替えて準用する場合を含む。)の承認を受けた事業報告書等(貸借対照表及び損益計算書に限る。)を公告しなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、その公告方法が厚生労働省令で定める方法である医療法人は、同項に規定する事業報告書等の要旨を公告することで足りる。

 

(公告方法)
医療法施行規則第33条の2の9 法第五十一条の三第一項に規定する医療法人は、同項の規定による公告の方法として、次に掲げる方法のいずれかを定めることができる。
一 官報に掲載する方法
二 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
三 電子公告(公告方法のうち、電磁的方法により不特定多数の者が公告すべき内容である情報の提供を受けることができる状態に置く措置であつて、インターネットに接続された自動公衆送信装置を使用するものによる措置を採る方法をいう。以下同じ。)

2 法第五十一条の三第二項に規定する厚生労働省令で定める方法は、前項第一号又は第二号に掲げる方法とする。

 

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