2021.2.25

医療法第6章第4節計算について(13:事業報告書等の公告)

今回は事業報告書等の公告についてみていきますが、関係条文の改正法が令和3年3月1日から施行されます。そのため、改正法に従って記載していきます。

 

◇趣旨

医療法第51条の3第1項は、一定の医療法人に対して、社員総会・評議員会の承認を受けた貸借対照表及び損益計算書の公告義務を定めています。

一定の医療法人とは以下のいずれかに該当する者です(医療法施行規則第33条の2の8)。

①最終会計年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が50億円以上又は最終会計年度に係る損益計算書の事業収益の部に計上した額の合計額が70億円以上である医療法人

※最終会計年度とは、事業報告書等につき医療法第51条第6項の理事会の承認を受けた直近の会計年度をいう。

 

②社会医療法人

※事業規模や社会医療法人債発行の有無にかかわらず、すべての社会医療法人に公告義務があります。

 

◇公告の方法

公告の方法は次のいずれかによるとされています(医療法施行規則第33条の2の9第1項)。

1.官報に掲載する方法
2.時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
3.電子公告(公告方法のうち、電磁的方法により不特定多数の者が公告すべき内容である情報の提供を受けることができる状態に置く措置であって、インターネットに接続された自動公衆送信装置を使用するものによる措置を採る方法をいう。)

※電子公告とは具体的には医療法人のホームページ上に掲示することが想定されています。

また、電子公告の場合は貸借対照表及び損益計算書を承認した社員総会・評議員会の終結の日から3年を経過するまでの間、継続して公告しなければなりません(医療法施行規則第33条の2の10)。

 

◇改正による変更点

従来は上記の1から3いずれの方法であっても貸借対照表及び損益計算書の全てを公告しなければなりませんでした。

しかし、改正法の施行により、上記1(官報に掲載)または2(日刊新聞に掲載)の方法で公告する場合は、要旨の公告で足りるようになります(医療法第51条の3第2項及び医療法施行規則第33条の2の9第2項)。

 

要旨の公告で足りるということは、官報等に掲載する量を減らすことが可能になるため、公告費用が抑えられると考えられます。

なお、3(電子公告)は従来通り全て公告しなければなりません。

 

◇罰則

医療法人の理事、監事、清算人は公告を怠り、又は虚偽の公告をしたときは、20万円以下の過料の制裁があります(医療法第93条第4号)。

 

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