2021.2.25

医療法第6章第4節計算について(14:事業報告書等の備置義務、備置書類の閲覧)

今回は医療法第51条の4についてみていきます。

本条は、医療法人の事業内容に関する情報開示制度として、医療法人に対して特定の書類を一定期間備え置くことを義務付けています。

さらに、閲覧請求があった場合に所定の方法で閲覧に供することを義務付けています。

 

◇主たる事務所に備え置くべき書類

①事業報告書等(事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、関係事業者との取引の状況に関する報告書、その他厚生労働省令で定める書類)

②監事の監査報告書

③定款又は寄付行為

第51条第2項の医療法人(社会医療法人を除く)は、上記の3点に加えて、

④公認会計士又は監査法人の監査報告書

も必要となります。

 

◇備置義務、期間

単に保管するのではなく、適法な閲覧請求がなされたときに閲覧に供することができるようにしておくことが必要です。

備置義務の対象となる事業報告書等は、承認を受ける社員総会・評議員会の日の1週間前から5年間、主たる事務所に備え置く必要があります。

これは、貸借対照表及び損益計算書を承認する社員総会・評議員会における社員・評議員に対する情報開示の一端を担っていると考えられます。

なお、備置期間の終期は画一的に定められており、備置きの開始が遅れ、本条違反に該当するとしても備置期間の終期に影響はありません。

また、社員総会・評議員会の決議によって、貸借対照表及び損益計算書の修正や監査報告書等が修正された場合は、修正後の書類を備え置く必要があります。

 

◇閲覧請求権者

一般の医療法人の場合:社員、評議員、医療法人の債権者

社会医療法人及び医療法第51条第2項の医療法人:閲覧請求権者の限定なし

 

◇閲覧方法

書面で備え置かれている場合は書面、電磁的記録の場合は電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスクに記録されている事項をプリントアウトやディスプレイに表示する方法によって行います。

 

◇閲覧請求権の行使方法

医療法人に対して閲覧請求の意思表示を行うことでよく、方式は法定されていません。

医療法人は定款や閲覧請求に関する事務取扱規則等で閲覧請求に関する定めを設けることができます。

なお、閲覧請求に対して医療法人は正当な理由がある場合には閲覧を拒否できます(閲覧請求が医療法人の業務時間外の請求、いやがらせ目的の濫用的な請求など医療法人の業務に支障が出るような場合等)。

 

◇従たる事務所

従たる事務所で備置く書類は、主たる事務所に備置く書類の写しです。

備置期間は承認を受ける社員総会・評議員会の日の1週間前から3年間です。

従たる事務所でも閲覧請求への対応は必要です。

 

◇罰則

医療法人の理事、監事、清算人は備え置くべき書類について以下に該当する場合、20万円以下の過料の制裁があります。

・書類の備付けを怠った場合

・書類に所定の記載事項を記載しなかった場合

・書類に虚偽の記載をした場合

・所定の手続きに則った書類の閲覧、謄写を拒んだ場合

 

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