2015.10.19

地域医療連携推進法人の創設が認められるようになりました!

これからの医業経営の在り方に大きな一石を投じそうな法改正が行われました。法人格が別々の医療機関や介護施設を一体的に運営することのできる地域医療連携推進法人制度の創設などを盛り込んだ改正医療法の成立です(2015年9月16日)。

この法律の成立により、複数の医療法人の参加など一定の基準を満たした一般社団法人を都道府県知事が地域医療連携推進法人として認定し、医療法人や介護事業を手掛ける非営利法人などを傘下において連携して運営することが認められるようになりました。

このたび創設が認められた地域医療連携推進法人の主な業務は、統一的な連携推進方針の策定です。この方針に基づいて、傘下の病院・診療所の医療機能の分化や各医療機関の連携などの事業を進めることになります。病床過剰地域においては、病床再編の一環として病床を融通し合うことなども認められます。統一的な連携推進方針以外にも、キャリアパスの構築、医師や看護師などの研修、医療機器の利用等の共同化や資金の貸付なども認められ、傘下に医薬品の共同購入などの関連事業を行う株式会社を保有することも認められるようになります。

ただし、地域医療連携推進法人も非営利法人としての性格を維持するため、医療法人として社員の議決権を各々1個とすること、株式会社など営利法人の役職員を役員とせず、剰余金の配当を禁止するなどの措置も講じられました。

この地域医療連携推進法人をどのように活用していくのかについては、厚生労働省も具体的に説明しているわけでもなく、これからの議論となりそうです。

現時点で考えられる活用法の一つは、医療法人の買収や合併に向けた一つのフェイズになりうるということです。医療法人の買収、合併はこれまでにも行われてきましたが、人事労務面、医療体制面、病棟、病床の在り方などの事前調整に時間を要するとの課題が指摘されてきました。また医療法人の非営利性や周囲の視線を気にしてか、病院のM&A案件に関しては、「売りに出ている」「買いたがっている」ことが表面化することを嫌う風土もあります。地域医療連携推進法人という器を活用することで、こうした病院再編の流れが促進される可能性は十分にあるでしょう。

実際に地域医療連携推進法人の立ち上げや運営がうまくいくかどうかに関して、もっとも難しいのは、関係者の利益や意見の調整になるのではないかと思います。

この課題克服のためには、なによりも法人の設立目的や具体的な業務について設立段階でしっかり議論をして傘下の組織全体で目的や業務内容について意識共有をすることだと思います。

私ども弁護士法人海星事務所は、医業経営、医療法を専門とする法律事務所として、この地域医療連携推進法人の成り行きに関しても強い関心をもち、今後も、情報の発信や活用方法について提言をしてまいりたいと思っております。

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