2021.1.20
押印制度の見直しについて(国の押印見直し基準)
以前からペーパーレスなどデジタル化を求める声はありましたが、昨今の状況において急速に社会全体のデジタル化を進める必要がでてきました。
そこで課題となったのは「書面・押印・対面」を原則とした制度・慣行・意識の見直しです。
今回は国の取組としての行政手続における押印見直し基準について紹介していきます。
ここでいう行政手続とは住民や事業者から提出される申請等のことです。
<行政手続きの押印見直し基準>
押印を求めている国の行政手続きについて、
1.法令・省令・告示の様式のいずれにも押印を求める根拠がない→押印廃止
2.押印を求める根拠がある手続きについては、
①求めている押印の種類(印鑑証明付きの登記印・登録印もしくは認印)
②行政手続等の内容・目的・趣旨(本人確認、文書作成の真意確認、文書内容の真正性の担保)
から手続を評価して判断する。
上記の判断基準によると以下に該当するものは押印廃止となります。
・押印の種類が登記印や登録印で無い場合は、押印を求める積極的意味合いが小さいと考えられる→押印廃止
・押印を求める積極的意味合いが大きいと考えられるが、手続の趣旨に押印を求める合理的理由がない→押印廃止
・手続の趣旨に押印を求める合理的理由があるが、押印を求める趣旨を他の手段に代替え可能→押印廃止
よって、押印の種類が登記印もしくは登録印であり、手続の趣旨に押印を求める合理的理由があり、なおかつ代替手段がない手続きは押印存続となります。押印存続の具体例としては以下の手続があります。
相続税申告(存続理由:遺産分割協議の内容は相続税の計算に影響するため、その内容が全員の真意に基づき成立したものであることを担保する必要がある)
商業・法人登記(存続理由:厳格な本人確認が必要であり、登記所に提出された印鑑と申請書に押された印鑑を登記官が対照することで、申請人の同一性を確実かつ迅速に確認できるため)
今回の見直しにより、押印を求めている手続き全14,922手続のうち14,909手続は押印廃止決定、または廃止の方向で検討となったようです。
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