2021.2.10

新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、雇止めを検討している場合の注意点について

Q.新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、雇止めを検討している場合、どのようなことに注意が必要でしょうか。

 

A. やむを得ず有期契約労働者の雇止めを検討する場合、以下の点に留意が必要です。
① 有期契約労働者から労働契約の更新の申込みがあった場合、その方の雇止めについては、以下のいずれかに当たると認められる場合には、使用者が雇止めをすることが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、これまでの有期労働契約が同一の労働条件で、その申込みを承諾したものとみなされること。(労働契約法第19条)

 

・過去に反復して更新されたことがある有期労働契約で、その雇止めが無期労働者を解雇することと社会通念上同視できると認められるもの

・労働者において有期労働契約の期間満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められるもの

 

 

有期労働契約は、契約期間の満了によって終了するものですが、契約が反復更新された後に 雇止めされることによる紛争がみられるところであり、有期労働契約の更新等に関するルールをあらかじめ明らかにすることにより、雇止めに際して発生する紛争を防止し、その解決を図る必要があります。 このため、法第19条において、最高裁判所判決で確立している雇い止めに関する判例法理 (いわゆる雇止め法理)を規定し、一定の場合に雇止めを認めず、有期労働契約が締結又は 更新されたものとみなすこととしたものです。

 

② 有期労働契約(有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている労働者に限ります。なお、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除きます。)を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければならないこと。(有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準第2条)
※有期契約労働者の解雇について、使用者は、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間は、労働者を解雇することができないこととされています。(労働契約法第17条第1項)。

 

労働紛争が起きた際には、使用者は労働者がこのことを理解した上で契約を結んだことを示す必要があります。

その場合のためにも、日頃から使用者側は労働者と契約を結ぶ際にしっかりとした説明を行うこと、万が一トラブルが起こった場合に備えて、その説明を適切に行ったという証拠が出せるようにしておくことが重要と考えられます。

 

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